眉山 -びざん- (2007)

文字数 703文字

【綺麗でした、そして胸打たれました】 2007/11/19



「思い込みははいけません」と周りには教えていても、僕がよくしてしまうのが・・《予断》。
数あるシネマを片っ端から観ることができないから、どうしても優先順をつけるしかない。
そのときに働くのが、この予断なんです。

四国生まれの僕には、眉山は徳島のちっちゃな丘陵のイメージ、知ってるつもりでした。
阿波踊りも知ってるつもりでしたし、不治の病の母、健気な娘、謎に包まれた父親のことも、
前情報としてインプットされていました・・・
ありきたりのご当地お涙頂戴作品という予断として。

違いました、
偏狭な思い込みと言われそうですが、このシネマは日本人ならばこそ心震え、
心温まる、さりげない秀作でした。
久々に、鑑賞後ひとり余韻に陶酔してしまいました。

眉山がまさか父親の象徴になれるとは思いませんでした
・・いいえ、日本風景すべて父親なのですね。
阿波踊りがこんなにも切ない情緒をその裏側に秘めていたことに気づきませんでした。
現在日本人死亡原因一位は「癌」、母の死はとても日常的でした、人は永遠に生きれないですし。
娘にとって秘密だった「父親のこと」もミステリーなんかじゃないんですね、
意地と優柔不断がもたらした不幸、世間によくありそうなこれまた日常でした。

人は生きている間に想いを全てかなえることなどできない、小さな存在です。
せめて、悲しみや死を過大に恐れることなく、次の世代にその想いを託したい・・・
そんなメッセージをもらったみたいです。

「わたしの宝」と胸張っていえるものを託す母親を宮本信子さんは演じています。
綺麗でした、そして胸打たれました、彼女の代表作がまた一本増えました。
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