かごの中の瞳 (2016)

文字数 543文字

【ストレスいっぱい 】 2018/10/3



オリジナルタイトル「あなたしか見えない」から転じて
「かごの中の瞳」ときたら、語るに落ちた。
邦題設定にはくれぐれもご注意お願いしたい。

僕はといえば、予告編情報のみで 
レイク・ライヴリーに逢いたくて拝見したような次第だった。
「アデレイン100年の恋」では遣る瀬無い想いに毅然と立ち向かうヒロインに魅せられた。

今シネマでも、その遣る瀬無い想いはヒロイン ジーナに引き継がれている。
事故で損傷した視力が戻ったことで、文字通り世界が瞬間にして明るくなるジーナに起こる
副次後遺症がサスペンスの見どころになっている。

鬼才マーク・フォスターはシネマの要所でジーナ目線を多用する。
最初ほとんど見えないスクリーンが、少し見え、かなり鮮明になってくる。
初めて夫の顔を見つめるジーナ、
「想像よりも悪いかい?」
「いいえ、想像と違っていただけ」
ぼんやりと雲がかかった視界のなかでで交わされる夫婦の冷えた会話。

表現しがたい強迫観念が迫ってくる。
ジーナの視界がその鬱積感を増していく。
観ている僕も息が苦しくなる。

サスペンスシネマの言葉では足りない重たい怨念のようなものがシネマを覆っていた。
ラストシーンの唐突さは、人生の真実に近いのだろうと想像した。
異色作にして名作だった。

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