遠くの空に消えた (2007)

文字数 746文字

【ユキサダワールドに深く感謝】 2008/4/1



第一印象は大事。
不思議なことに行定フィルムから「イタリア」が透けて感じられた。
フェリーニシネマに感じる幼年期の懐かしさとピユァな猥雑さ、
両者はこのあたりで繋がってるのだろうか。

夢のない退屈な大人にはなりたくない・・・と決心した少年の日々が甦る。
回想ファーストシーン、車が寄って来るロングショットから
僕はゾクゾクとこの妄想に取りつかれていた。
子供の頃、「何かが欠けているもどかしい夢」を見た、
そんな忘れ物を映像にするシネマ作家が羨ましい。
それだけで本シネマが大好きだ。

少年たちの見果てぬ夢がクライマックスに用意されている。
しかし、一大イベントを捧げた少女に
「あんたたち(少年たちをさして)馬鹿だねっ」
と言わせる趣味のよさが本作品の品格だ。
大人になっても、いくつになっても夢見る少年たちを包み込むのが
ユキサダワールドだと実感した。

そこには;
●誰にも知られない《秘密の隠れ家》
●謎の転校生
●転校生とガキ大将とのいじめ、喧嘩、仲直り、そして友情
●これまたおかしな宇宙に祈る少女
●豊かで深い自然、そこに生きる生物たち
●自然を侵す企業と地元住民との確執
●少しねじが緩んでいるが気のいいおじさん
●歓楽地帯への憧れと色っぽいお姉さんたち
●本当に起こったのか幻だったのか?定かでないような血なまぐさい犯罪事件
●夢にしかみれないような超自然現象、未知との遭遇

これって、僕も経験したような気もする?
いつの頃だっけ、よく覚えていない。
いや、誰かから聞いんだっけかな?
それとも本だったっけ、シネマかもしれないな。
いやいや、今となっては全てが夢のひとこまだったのかもしれない。

シネマでなければ再現できなかった子供時代のファンタジックな思いこみ、
ユキサダワールドに深く感謝。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み