チャッピー (2015) 

文字数 797文字

【変わらない監督の熱い想い】 2015/5/23



ニール・ブロムカンプとシャールト・コプリーが、またまたやってくれた。

前作「エリジウム」ではマット・ディモンを蔑ろにしてくれたが、
今作ではヒュー・ジャックマンが憎まれっ子の儲け役だった。
「リアル・スティール」モドキまでやらされても、
しっかり物語を脇で支えていたヒューはホントにいい奴だ。
実は個人的期待度No.1 であった肝心のシャールト・コプリーの演技はといえば、
なんと「声」のみだった。
あの怪演が見られなかったのは非常に残念だった
・・・彼はチャピーの声を演じていた、実は主役である。

幼児から、少年に成長するチャピーの歓喜、不安を演じているし、
ギャング(汚い言葉)も演じている、声だけで!
やはり、これも怪演といってあげるべきなのだろう。

チャピーの親代わりになるチンピラギャングカップルに、
ニンジャとヨーランディという本人出演がある。
南アでは有名なラップ・グループ(ダイ・アントワード)のメンバーらしい。
そして、撮影は「第9区」の地、ヨハネスブルグ。
世界一治安の悪いヨハネスブルグでの警官死傷率の高さから採用された「ロボポリス」が物語の発端になっている。

AIのチャピー、
マッドマックス系ギャング、
リアル・スティールパロディの敵役などの
ファンタジーアクションの連続で、
ついつい見落としてしまうのが南アのアパルトヘイト政策の歴史。

ニール・プロムカンプは、「第9区」に引き続いて本シネマにおいても、
変身の術を使う(観てのお楽しみだけど)。
またまた、同じパターンで締めくくるのかい?と疑いつつ、彼の執拗な想いに気づいた。

人間は容姿や財産や家柄で差別されてはいけない、
まして肌の色で差別することは二度と許されない。
歴史を正しく受け継ぐことがとても大切であることを、
ニール・プロムカンプ監督は熱く繰り返していた。
彼の作品に流れているコンセプト、今回も明白だった。

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