あいあい傘 (2018)

文字数 588文字

【不発 クラシックの逆襲】 2018/11/8



25年前に家族を捨てて死の淵に立ち寄った男、
死ぬことがかなわず拾われた家で女と娘と暮らす男、
そんな父親のことを知り不憫に思い会いに来る実の娘、
男と実の娘の再会をクライマックスに盛り上げながら、家族、隣人との暖かい交流を描いていた。
これは久しぶりの日本人それも今は絶滅した旧日本人の物語でもあった。

前半、狂言回し役の香具師(市原さん)による登場人物紹介のようなシークエンスが長い。
フーテンの寅さんのような純な三枚目は市原さんにはお気の毒だった。
もっとも後半には、物わかりのいいいなせな兄貴分に変身する特典付ではあるが。
同様に、関西漫才系のカップルが常時画面をにぎやかにしてくれるが、関東の山のなかで幾分場違いだった。

そのほかにも、いわゆる本職の俳優さんではない方々が多数出演している。
新しい日本シネマの息吹を感じさせるためだろう、しかし最後までぎこちなさがぬぐえなかった。物語の深刻さの緩衝としてしっかりと役立ってはいたものの、僕には余計だった。

とは言いながら、感動の親子の対面には泣けた。
背中で語るとはこう言うことなんだ、まさにクラシックの逆襲を肌に感じた。
シネマ全体から響いてくるヴォイスがばらばらだったにもかかわらずこのシーンはきれいに仕上がっていた。

古い伝統を守り本来の日本人を描くクラシックシネマをこれからも期待している。
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