ハリウッドランド (2006)

文字数 1,115文字

【半世紀の思い】 2008/3/8



50年経ってることに気づかなかった、気づいて少し動揺した。

本シネマがTV「スーパーマン」役者を巡るミステリーだということすら
予備知識としてなかった。
だから、余計にショックだった。
ショックだったというか、まるで自分の少年期を顧みるようなシーンに接し、
懐かしさに打たれた。
スーパーマン俳優(ベン・アフレック)の死因を調査する探偵(エイドリアン・ブロディ)と
その息子のやり取りは、遠い昔僕が経験し悩んだことだったから。

僕がTVで「スーパーマン」を見ていたのはこのシネマの少年と同じ年頃だった。
日本、それもローカルでの放映はこの少年の経験とはいくぶんのタイムラグがあったと思う。
まして、シネマでも描かれているように「スーパーマン」本人の遊園地営業を見に行ったり、
街中でスーパーマンがランチを取ってるところに遭遇することも僕にはありえなかった。
探偵の息子がスーパーマンの自殺を知って極端にうろたえるのは、そんな環境があったからだった。
一方、ジャパンの洟垂れ小僧はどうだったかというと、
結構僕は冷静だった・・・・様な記憶がある。
日本でも、スーパーマンの真似をして風呂敷を首に巻いて屋根から飛び出した子供がいたり、
今とは桁違いだけどスーパーマングッズが出回っていて、
買えない子供は悔しい思いをしたものだ。
そのあたりの状況はアメリカも日本も同じようだけど、
俳優とヒーローを同一視する傾向は、
日本では、すくなくとも僕にはほぼなかったように記憶している。
まだ、スーパーマンの声、大平透さんの人気の方が高かった。
いまだに、スーパーマンといえばあの大平さんの声と顔を思い出す。
そうなんだね、太平さんは声優なのにあの赤青のコスチュームを着てるのを見た記憶がある。

はなしを戻すと・・・
僕は当時からませたシネマキッズだったから、スーパーマン俳優の自殺を理解していたようだ。
子供たちのヒーローでいるのは大変ご苦労なことだろうと、その当事すでに同情していた。
当然ながら日本でも熱狂的人気だったが、僕にはこの俳優さんが不幸に見えていた。
彼はヒーローの雰囲気からかけ離れた容貌だったし、
自分自身不思議がっている・・・というよりこの役を嫌ってるようにすら感じていた。
だからだろうか、彼が自殺した・・・と聞いても驚くことなく悲しくもなかった
・・・それを思い出した。
50年ぶりに。

そんな少年時代に一瞬立ち返ることができ、本シネマにはとても感謝している。

本作は今までの定説から一歩踏み込んで、
本当の彼の死因は何だったのか・・・?を探求している。
そのミステリーとしての出来具合も悪くない。
ベンもエイドリアンもアップに耐える演技、素晴らしかった。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み