ハクソー・リッジ　（２０１６）　

【人間の善の力、信仰の力】　2017/6/24



殺し文句は　《プライベート・ライアン》を超える戦闘シーン。
民間人を含めて20万人もの死者を数えた沖縄戦を再現すれば当然のことだろう、
宣伝コピーは嘘ではなかった。

主人公が良心的兵役拒否でありながら除隊することなく衛生兵として命を救う物語、
実話そのままの物語だった。
シネマのエンディングでご丁寧にも主人公はじめ登場人物たち本物のコメントまで押さえている。
メル・ギブスンがずいぶん以前から本企画を用意していたことがよくわかった。
メル・ギブソンが僕にみせてくれたのは信仰の力。
主人公が神に祈る・・・「もう一人助けさせてください、もう一人・・」
75名もの兵士の命を救った銃に触れることのない兵士を鼓舞したのは信仰だった。

日本本土での初めての戦闘である沖縄戦、日本軍が勇猛に描かれている。
狙われる負傷兵や衛生兵、投降を装った自爆など、
沖縄戦の悲惨さも忘れることなくエピソードに盛り込まれている。
死を恐れない日本兵、
しかしながら決してその野蛮さをメル・ギブスンは強調してはいなかった。
そんな日本兵士すら救った主人公、
彼は殺し合いの戦場にあって決して汚れることのない人間の善の証だった。
そして、この物語が実話であることに何度も驚かされる。

奇しくも、72年前の明日6月25日　
日本軍の戦闘行為が終了し沖縄戦が終わった。