オブリビオン (2013)

文字数 682文字

【ハリウッド大作って奴は、これだから面白い】 2013/6/2



SF少年成れの果てジジイにとっては至福の一刻を過ごすことができ、
シネマの魅力に改めて感謝の気持ちでいっぱいです。
加えて、オリジナルストーリーのSFシネマらしい発想の奔放さと、
ご都合主義(?)も大きな魅力でした。
ハリウッドSF大作にして、
トム・クルーズを一枚看板にして
《ハッピーエンディング》を蔑ろにできるはずも無いものです。
まして謎が解けるときのカタルシスが、
主人公のアイデンティティを覆すプロットなのは危険極まりありません。
スターを見るために劇場に来るファンの気持ちは絶対に無視してはいけない聖域でしょう。

その意味からも、本作はSFエッセンス博物館的イイトコドリでありながら、
リスキーな領域にまで踏み込んだオリジナルストーリの勝利でもありました。
素直な僕は「誰がために鐘は鳴る」スタイルエンディングアプローチを観ながら
・・・ちょっぴり不満を感じていました。
そしてその反動のように、安直で軽薄ともいえるエンディングに
胸の奥から暖かいものが湧き出るのに気づいていました。

それは、精神の合理適正に他ならないのです。
ここに「映像のマジック」がありました。
僕は「ジャック・ハーパー」ではなくて「トム・クルーズ」に感情移入して観ていたのでした。
幾多の「ジャック・ハーパー」に共通する「オブリビオン破り」、
しかし演じるのは一人のトム・クルーズでした。

破滅SFには必ずお約束の「小さな希望」があります。
地球再建に集う人々の中にトム・クルーズがいることが大事なのです。

まったく、ハリウッド大作って奴はこれだから面白い。

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