しあわせへのまわり道 (2014)

文字数 557文字

【運転は人生そのもの】 2015/8/31



またまた、軟弱な日本語タイトルにうんざりしてしまう。
輸入配給マーケティングの不見識にただただあきれてしまった。

オリジナルタイトルの「Learning to Drive 」は人生にとって大切なことごとのメタファーだろう。特に男と女がお互いを乗りこなすために肝心な秘訣、それを教わることは人が生きる意味にもつながっているはずだ。

夫から離婚を強いられる女、かなりの我儘な生き方で書評家としての地位を築いている。
政治亡命したシーク教の元大学教授の男は、ニューヨークでタクシーを流して、人種差別に耐えながら故郷から妻を呼び寄せる。
男が自動車教習レッスンで女を教えるところから、小さな真実が二人に降りかかってくる・・・今までの生き方は果たして正しかったのか。
二人ともに熟年を超えた晩年だが、いまさらながら生きる意味を互いに相手から感受する。

そのキーワードは「誠実」。
運転するときは余計な雑念を捨てて、集中し、かつ視野を広く、予期しないトラブルにも冷静に・・と教え学ぶ教官と生徒。
運転教授というささやかな日常の中に、熟年離婚、移民、人種差別、女性の自立への厳しい視点が盛り込まれていた。

お二人のベテラン役者(ベン・キングスレイ、パトリシア・クラークソン)の殿堂入り演技は一見の価値あり。
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