オリエント急行殺人事件 (2017)

文字数 758文字

 【ポアロ ヌーボー】 2017/12/20



前作(1975年製作)の俳優陣を知ったとき、
あまりの豪華さに目が眩んだことを昨日のことのようによく覚えている。
イングリッド・バーグマン(アカデミー助演女優賞受賞)、ヴァネッサ・レッドグレーブ、
ローレン・バコール、ジャクリーヌ・ビセットの女優陣、
ショーン・コネリー、アルバート・フィニー、マーチン・バルサム、アンソニー・パーキンス、リチャード・ウィドマークの男優陣。
その時に思い至ったのは、
あまりにも有名なクリスティの名作を映像化するためには、
謎解きの興味など最初から取っ払ってしまったのに違いないということ。
いま、DVDで再会してもこの俳優陣に目が行ってしまう、ミステリーなどどうでもいいって。

そのリスク、または構造的弱点はリメイクの今シネマでも変わらない。
ジョニー・デップを取り込んだのはその意図するところだろうが、
その他に超ビッグネームは見当たらない、
前作との差は歴然としていた。

思いがけずに僕が今作も楽しむことができたのは、
ひとえに《ポアロ》の魅力に拠るところが大きかった。
アクション派のポアロ探偵など、クリスティーの世界にはない。
そういえば、ポアロはチビデブと灰色の脳細胞が売りだったが、
本シネマではスリムな体形になっている。
近年のシャーロック・ホームズ・シリーズにける
ロバート・ダウニー・JRとジュード・ロウのアクション探偵への転向と同じ傾向だ。
なるほど、英国にはジェームス・ボンド以来ニューヒーローが誕生しないので、
古いところを掘り出して作り直しているようだ。

そういうことで、
みんなが知っている「謎」以外でも、シネマを楽しむことができるのは前作同様、
なんと、次回作まで本編の中で紹介している、
よほど自信があるのだろう「ナイル殺人事件」、これまたリメイクだけど。

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