ヒトラーの贋札 (2007)

文字数 623文字

【ユダヤ不屈の闘志】 2008/7/20



ラストシーンで思い出した、我が家伝来のジョ-クのひとつ;
支払いの場面にて・・・
「では、これでお願いします、えーと、裏側も刷れてる?
 なんせ、きのうの夜刷ったばかりだからね・・・」

このジョークの心はといえば、
お金は誰かが印刷したものにしか過ぎない。本当に価値あるものは別にある・・・ということ。
とはいえ、我が家で本当に印刷しているわけではない、念のため。

通貨は一国で、いや今では世界において信頼を信頼たる位置にとどめ置く、希少な概念になっている。本シネマでは贋札プロジェクトを国家レベルで推進する狂気を淡々と描いている。

ナチスはその汚れ仕事を「ユダヤ人」に押し付ける。
なぜ「ユダヤ人」に任せたのか?
ホロコーストの真っ只中にいるユダヤ人には、「ただ生き延びること」が希望であった。
贋札のプロ、銀行家、写真家、印刷工などが各地の収容所から選抜される。
プロジェクト成功と引き換えに抹殺されるのを承知の上で、生き延びる環境にしがみつくユダヤ人たち。

その従順な性癖を活用するナチスの陰湿さと相まって、閉塞感に襲われ続ける。
抵抗して正義に命を捧げることを選択しない、ただ神の意思として運命を受け入れるこの民族。
しかし結局はユダヤの不屈の闘志をまたまた見せつけられる。
今に至っても、このようにナチスは告発され続けているのだから。

老婆心:
贋札プロジェクトに関わった人間の「その後」がわかればもっと興味が深まったかもしれない。
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