友罪 (2017) 

文字数 498文字

【贖罪の暗くも美しい映像】 2018/5/29



五つの償いとその葛藤が全編ていねいに描かれる。
ひとつひとつの罪の重さはそれを犯した人間にしかわからないことを説明する。
少年の頃の過ち、親友への裏切り、子供の罪、無為の過ち、教育者の欺瞞
・・・・というところか。

本シネマの事前プロモーションはキーワード「少年A」に代表される
凶悪少年犯の現在に絞られていたが、
本編ではその何倍かの恐怖と憤りが込められていた。
世の中の裏道を這うように進む登場人物たちに共感することは容易くないが、
見捨てる気持ちにもならない。

誰かが助けてあげなければと思う、それが捨て猫をヒョイと拾い上げるようでもいいから。
現実は、むろんそんなに甘くない。

五つの罪と罰物語を、僕はどう受け止めればいいのか?
根本にあったのは「命の大切さ」に違いないのだけれど。

シネマは「ロクヨン」の映像タッチを継承しているが静かなシーンばかりだ、
たとえ暴力シーンでも。

圧巻はラストでの主人公二人(瑛太さん、生田斗真さん)の懺悔の慟哭だった。
静と動、冷と暖、涙と笑み、まるで俳優演技コンクールのようだった。
夜の公園シーンとともに僕には忘れられないものになった。

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