記者たち 衝撃と畏怖の真実 (2017)

文字数 667文字

【 ポスト,タイムズでなくナイト・リッダー 】 2019/4/10



日本では知られていなかったナイト・リッダー記事配信会社が見せた記者魂の物語。
もしかして、アメリカでも彼らはマイナーだったかもしれないが、
イラク戦争の欺瞞をいち早く見抜いたのは彼らだった。

シネマの訴求点は、若い兵士を戦場に向かわせるためのフェイク情報への怒り。
議会も国民もマスコミもみんな、いとも簡単に騙されて戦争に加担する、
その代償を血で支払うのは兵士である若者たち。
2001・9・11に沸き起こった愛国心な嵐のなか、祖国を守るために志願する若者、
大統領府は、独自の戦略室を立ち上げて、開戦に都合の良い情報だけを採用する、
その真偽に関係なく。

このあたりのネオコン集団の傍若無人ぶりは 
先日拝見した「バイス」でエキセントリックに描かれていた。
「バイス」と「衝撃と畏怖」を合わせ鏡で見ると、当時の歪な権力構造と報道の無力が
浮かび上がってくる。
無能な大統領、戦争願望の国防長官、彼らを操ることを面白がる副大統領。

政府、大統領の公式発表だけを掲載する 
ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズが無能呼ばわりされるシーンがある。
だから、ナイト・リッダー社には存在価値がある・・ということだ。
そういえば、日本にも御用新聞に成り下がって開き直っている報道社が多い。

そんなナイト・リッダー社も現在は無くなっている。
では、僕は何を信じればいいのか?
自分の良心に訊くしかないのだろう、少なくとも報道をすべて丸呑みしないこと。

ロブ・ライナーの骨太なシネマ創りに、ほんの少し留飲を下げた。
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