テリー・ギリアムのドン・キホーテ (2019)

文字数 601文字

【語り継がれる英雄 ラ・マンチャの男】2020/1/24



原題の「ドン・キホーテ―を殺した男」の重い意味をエンディングで知ることになります。
テリー・ギリアムの怨念のような本シネマへの情熱がこもったタイトルでした。

あのドン・キホーテとサンチョのコンビネーション、
その継承される理想を本品は謳い上げています。
観ていてもちょっと照れ臭くなるほどの純粋さ、ギリアムの想いがひしひしと伝わってきます。
80歳を前にして念願のシネマを完成させたギリアム、人生はこうありたいものですね。

物語りはドン・キホーテ伝説のシネマ製作という劇中劇が二重に、
いや三重に紡がれる知的レベルの高い構成です。
ドン・キホーテ物語を期待した顧客はここで肩透かしを食らいます。
「テリー・ギリアムの・・・・・・・」としたマーケティング邦題の下心と裏腹に、それは奇しくもテリー・ギリアム的世界を明確に宣言していました。

本シネマはテリー・ギリアムの文明に対する強烈な警告でした。
ドン・キホーテの高名を借りて人間の生き方の総点検を顧客に訴えています。
グローバル化の弊害、富の格差、宗教間の齟齬、そして男女の愛についての最終的な警告を
≪《》≫僕は感じ、受け取ったのです。

このままで人間は幸せになれるのか?
もしかして、ドン・キホーテのように生きることはできないのか?
たとえドン・キホーテを殺した男であっても、
ドン・キホーテのように生きることはできないのか?
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み