デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~ (2009)

文字数 466文字

【美しき哉、「悟りの愛」】 2009/10/12



大きな破綻を心配することなく安心して観ていられる大人のシネマ。
その分、面白みには欠けるところが難点だった。

元諜報員のいい大人の男女が、企業スパイ戦で一攫千金をもくろむ。
主演はジュリア・ロバーツとクライブ・オーウェン、
脇を固めるポール・ジアマッティ ・・・確かに地味そうだ。

そうなるとお楽しみはジュリアとクライブの丁々発止の演技合戦かというと、
お二人ともごく軽めにこなしている、
当然なのだろう、あの《クローサー》の緊迫感は露ほど感じられない。

結果としてはプロの諜報員でも及びつかないビジネスの厳しさを知ることになるのだから、
世界は平和になったものである。
諜報活動はITを駆使したデジタル世界がその戦場、属人的能力などもはや「お呼びでない」。

それでも、
企業間の騙し合いプロットはしっかりとシネマファンにカタルシスを呼び込んでくれる
その非情なる企業スパイ活動の中ではぐくむ中年男女の悟りの愛も、思いがけず美しかった。
たとえ、年月が美人女優というレーベルを無残に剥がしつつあるとしても・・・。
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