新聞記者 (2019) 

文字数 803文字

【総理官邸指導型政治入門 】 2019/7/4



政治向きのことは知らない、
関わりたくない、
そんな暇はない、
毎日の生活で目一杯…という方々にぴったり。
現在日本が直面している政治問題がシネマを観ながらわかる仕組みになっている。

原案は望月衣塑子(中日新聞記者)のノンフィクションであることからお分かりの通り、
現内閣、内閣府の魔界を切り開いていく。
主人公女性記者を演じるのはシム・ウンギョンさん(韓国の至宝だそうだ)。
主人公に情報提供する内閣府内閣調査室職員を日本の至宝 松坂桃李さんが演じている。
バイリンガル帰国子女の設定とはいえ、シムさんの控えめな熱い演技に至宝という言葉を実感した。

なぜ日本人女優を使えなかったのか?
政治的圧力というよりも、その人材が日本の業界に欠如しているから、悲しい。
タイトルにある通り、新聞記者ひいてはジャーナリズムの矜持を問うテーマになっている。
それに加えて、原案者ならではの「前川事務次官」、「伊藤詩織さんセカンドレイプ被害」、
の直近の具体的事件も、素に近い形で詰め込まれている。

首相周りのスキャンダルの極致が新設大学の闇、
しかしながら、あまりに生々しすぎるためか、これ以上官房長官の血圧を上げないためか、
当該新設大学問題に関してはエンターテイメントテイストでごまかしてうやむやにしている、
まぁ仕方ないか。

内閣調査室の実態は闇のまた奥と言われてきたが、
公安警察の人材余剰分を充当し、
かなり大きな組織になっていることを匂わせる本シネマにうすら寒い恐怖を覚える。

政治抗争のネタとしてスキャンダルを収集するTVドラマ「クライシス」のチーフが、
本シネマでは内閣調査室のチーフ(田中哲司さん)
…「この国の民主主義は見せかけだけ」と宣う、クールだった。

安定した権力を維持し守るために、
捏造、脅迫、ネット操作に日夜全身全霊を傾ける内閣調査室(内調)。
彼らが健在である限りこの国は不健康のままだろう。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み