最も危険な遊戯 (1978)

文字数 720文字

【TCFスピリッツ】 1979/12/9



東映セントラルフィルム(TCF)第一回作品、
村川・優作の初シネマ・・・とくればその意気込み、熱気がスクリーンを破って燃え上がっている・・・・と持ち上げたいところではあるが、まぁ、それほどでもない。
でも、低予算で面白いシネマを創るというポリシーは間違いなく生かされている。
本作公開から1年半が経過し、この(蘇える金狼)が角川映画で公開された結果、
このコンビはアクションのシネマの代名詞になってしまったのだからたいしたものだ。

《蘇える金狼》に絡めて云えば、彼らは大作(・・・金狼)で成功したとは言えず、このTCFプログラムピクチャーにみるマイナーの意地のほうに僕は魅力を感じる。
説明抜きで、殺し屋「鳴海昌平」が登場するなんてとこは、大藪春彦には思いもつかないだろう。

だいたい、タイトル「最も危険な遊戯」自体ギャビン・ライアからの借り物だし、
あの荒木一郎が警部だなんて創り手のブラックユーモアが垣間見えて、愉快ですらある。
優作も得意のコミカルな演技で気楽に楽しんでいるように見える。
そう、TCFは凝ったストーリーで勝負することなく、役者の個性でグイグイ引っ張っていくスタイルだ。
なかでも、荒木と優作の対決は飄々とした雰囲気のなかに、冷たい殺気が漂っていたのがお見事だった。

優作の「荒野の用心棒」小細工(鉄板胸板)には苦笑したが、荒木の射殺シーンはサム・ペキンパーもびっくりのスローモーションリアリティだった。
パロディの決定打は優作が場末のストリッパーにからかわれるシーン:
舞台に流れる音楽はあの「ママ、ドゥー・ユー・リメンバー」、
ご丁寧にもストリッパーは麦わら帽子を持ってる。

この精神こそTCFの命なのだと共感しきり。

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