カオス (2005)

文字数 940文字

【脚光を浴びた「ライアン」と「カオス理論」】 2007/6/9



「カオス」というタイトル、なかなか挑戦的でしたね。

初っ端から、銀行人質強盗犯が「カオスのなかにも秩序あり」な~んて謎かけてきたりして、「おっ、観客が試されてるぞ」って緊張してしまった。
その後の展開は、いまやポリスアクションのお約束になってしまった「ノンストップ誰が信用できる?」ストーリーになってしまったが、常に「騙されまいぞ、見破ってやるぞ」モードを維持させられた・・・乗せられたともいえる。
結局は「カオス」というタイトルに恥じない混乱に巻き込まれるわけだけど、まぁ、ミステリーとしての完成度も悪くない。ここでは、荒筋には触れないでおこう、なんといってもそこは本シネマのセールスポイントだから。

ところで、昔昔僕も「カオス理論」に食らいついたことがあるけど、よく理解できなかった負い目から、本作になんで「カオス理論」が関係するのよ?と噛み付きたいのを我慢していた。
実際のところ必然性、意味ともに不明だ。
これは個人的コンプレックスかもしれないが、
このシネマで「カオス理論」がまた脚光を浴びることは大いに結構なことだね。

脚光を浴びるといえば、助演に位置するライアン・フィリップが光っていた。
坊ちゃん刑事の風貌なのに、やることが大人、最初は地味なスーツ、白いカッター、ダークなタイ。
そりゃ~スタイリストさんの才能なんだろうけど、みごとに「ダサイ」の一言。
そこからの挽回がすさまじい・・・カオス理論は知ってるし、混乱の警察においてひとり冷静沈着。
反面、バイクで犯人を追跡する熱い根性や、拷問も辞さないこわもて取調べ態度、とても新米刑事とも思えない。
おまけに、どこに行ってももてる事しきり、女性鑑識官には「誘導尋問はしないで、私を誘導して・・・」なんてさ。今で言えばハンカチ刑事・・・?ハニカミ刑事・・・?かな。
そんなライアンもラストシーンでは、血だらけ、傷だらけのヨレヨレスーツのタフガイに変身していた。
彼は「カオスにも存在する秩序」をメタファーした存在だったのだろう。

ライアン・フィリップをじっくり鑑賞するのも一興、あれよあれよのストーリー展開に酔ってしまうのもニ興か?
もし余力があれば「カオス理論」のお勉強でもいかがかな?
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