クモとサルの家族 (2022)

文字数 762文字

【主演おめでとう 祥平さん】 2023/6/7


宇野祥平さんが主役を張ると知って見逃すわけにはいかない。

星の数ほどシネマに出演している宇野さんだけど主演作はぼくの記憶にない。
「亀岡拓次(2016)」は宇野さんをモデルにドラマ化したものだったが主役ではなかった。ぼくはこの作品以降、様々な役柄の宇野さんの存在を意識することになる。
「罪の声(2020)」ではリアルな自死シーンで複数の助演男優賞を受賞したが、助演というより脇演、それもワンカットでシネマを引き締めてしまう魔術のような存在感に対する評価だったと思っている。

さて、主演作での存在感はいかがだったか?
物語は戦国時代が終わったころ、隠密アウトソーシングで生計を立てる夫婦とその子供たちのお話になっている。 宇野さんはマネージメント担当の夫サルを演じ、凄腕の妻クモ(徳永えり)におんぶにだっこの暮らしぶり。
そろそろ隠密派遣業から足を洗い町中に移ろうか・・・などと考えている、本当に人のよさそうな忍者頭領。
イノシシを狩り、肉をさばき、バーベキューする自給自足の貧しいながらも家族愛に満ちた生活から一変して、賞金稼ぎに狙われることになる。

敵対グループを率いるのが犬(どぶろっく江口)、宇野さんと見間違えるような風貌だということで紛らわしい。 かように キャスティングで監督・プロデューサーの長澤佳也さんの辣腕というか好き放題が炸裂する。
終始小汚い恰好の奥田瑛二さん、姥捨て山サバイバーの白石佳代子さん、ワンカットで魅了する仲村トオルさん。

群像アクションシネマにおいていつもニコニコのほほんとしていた主役のサル。
落ち着かない主役の居心地にいたたまれずに、ほかのキャスト、スタッフに目いっぱい気配りしている様子が目に浮かんできた。
主演、おめでとう宇野祥平さん。
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