スーパーマン II/冒険篇 (1981)

文字数 841文字

【皮肉なお方、レスター監督】 1981/8/4



お待ちかねのお楽しみシリーズ。
2作目はリチャ-ド・レスター監督、とはいっても1作目で撮影した部分の再使用がほとんどらしく、レスター監督得意の「しゃれっ気」が見事開花というわけにはいかなかったみたいだ。

それでも、それなりにレスター監督らしい小気味よさがアナクロコミックを「楽しめるエンターテイメント」にしてくれた。
今さら、前作のリチャード・ドナーをあげつらうのも潔くないが、本作と比較してみると前作は偏重厚さが際立っていた。

一歩譲って、前作はヒーロー登場がテーマだったわけだから、その重さも無理ならずと受け入れられないこともないが、なんとレスター監督、今回続編のタイトルバックで前作の荒筋を全て紹介してしまう・・・皮肉なお方だ。
その後は、いかにより多くの見せ場を楽しませるかという使命に燃えたサービス精神に徹底して、本作の目玉である「3大スーパー悪人」との対決へと進んでいく。
この能力こそは彼をして職人肌と言わしめる才能である。

観終わった後で、溜め込んだ息をフッと漏らすにつれて、たった今観た映像が自然とメモリーのなかでプレイバックされる・・・そんな感じだ。
子供たちと一緒に観たが、子供には気の毒なくらいのハイスピード感覚だ、そう・・・「スーパーマン」は大人のコミックだったことを思い出した。

本作では、「スーパーマンの普通人願望」が精神的テーマになっていて、僕らの「スーパーマンになりたい願望」に見事に肩透かし食わせている。
ヒーロー変身願望がいかに安直で薄っぺらいものかを改めて説教しているのも愉快だった。
ほんとに皮肉なお方だ、レスター監督は。

冷静に見ると、スーパーマンの人格に迫り、問題提起し、かつ解決までしてしまったリチャ-ド・レスター一人に、振り廻されてしまったシネマであったような気がする。
第一作の長大重厚部分の欠如は、その代替としての「お手軽さ」で十二分にカバーされている。

シリーズシネマならではの特権か?次回も期待できそうだ。

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