スペシャルズ!  (2019)

文字数 555文字

【捨てたものではない】 2020/9/15



捨てたものではない。
ヴァンサン・カッセルとレダ・カテブが誰からも見放された重度障害児
を引き取る施設の責任者を演じるという・・・それだけで興味深い。

二人れの役割は、児童施設運営とそこで働くスタッフ斡旋、
ただしその活動は無許可、いわゆる法律外の活動だが、
往き場を失った家族たち、医師、福祉関係者からの依頼が絶えることはない。

公的機関では受け入れられない障害児童がいる現実に向き合うこの二人の日常を名優が肩の力を抜いて演じあげていた。
それぞれに敬虔なユダヤ教徒とイスラム教徒であり、
児童も若いスタッフも多様な人種、いかにも現代のフランス縮図の狭間を垣間見た思いだった。

そんな無許可施設への役所からの監査が入る中、
毎日の介護と社会復帰支援の熱い活動が描かれる。
あらかじめ想像した通り、そこには悲壮感も崇高な理念もない・・・・
ただ「何とかしてほしい」に応える「何とかするよ」という情熱があった。

国家の福祉システムからも放り出された子供たちが希望を見つけていく過程もさることながら、働く場のない若者に仕事の意味と喜びを介護の仕事を通じて教えていく二人の生き様は、タイトル通り スペシャルだった。

解決方法のない社会問題を捨てておけない人たちがいる、
人間もまだまだ捨てたものではない。
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