グリーンランド ―地球最後の2日間― (2020) 

文字数 624文字

【自分勝手な人間に幸多かれ】2021/6/8



地球の、あるいは人類の終末ストーリーにはいろんなパターンがある。
SF(サイエンス・フィクション)のなかでもありとあらゆる悲劇の原因が語られてきた。 
ちょうど今、SF小説「三体 第三部 死神永生」(劉慈欣)の最終エピソードを読んでいるところなので、本シネマにおける滅亡要因には感動するわけもないのだが、物語りを映像化するとなると、小説とは話は違ってくる。

隕石が天から降り落ちてきて都市を、田園を焼き尽くすという設定に近頃のSFXは十二分に役立っているのではあるが、予想に反してシネマは切々と妻と息子を守る主人公(ジェレルド・バトラー)を中心に展開していく、これは心温まるホームドラマの変形だった。
地球滅亡のシナリオはもっともオーソドックスな形になっている、まるで時代錯誤のように。
核兵器へのテロ、殺人ウィルス、はたまた宇宙知性の干渉などでは無く、恐竜絶滅と同じ道を選ぶという原始的手段を採っている。
この隕石落下も大スクリーンで観るに値するシーンであるが、それでも家族の愛情をあくまでも訴えかけてくる本作はその意味では立派。
主人公家族の輝きを増すために、卑劣な人間たちが多数出てくるのも定番とはいえ効果的だった。いざとなった時に、頼りになるのは軍人と医療関係者、そして家族しかいない。

主人公はじめそんな人類にこの地球を継ぐ価値があるのだろうか、
新型コロナパンデミックのなかで、そんなことを思ってみたりだった。
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