レミニセンス (2021)

文字数 694文字

【頼もしい才能、リサ・ジョイ監督】 2021/9/21



リサ・ジョイ監督、ハリウッドデビュー作品は上出来だった。
彼女は原作・脚本も兼任している、まさにスーパー・ウーマン、
特に本作は
他人の記憶を三次元で覗き見ができるというアイデアがポイントになっているが、
それ以前に、物語の舞台のマイアミ、戦争と気候変動のため海面上昇で水の都になってしまった、荒廃したその姿も本シネマの哀切を否が応でも盛り上げてくれる。
海面上昇に伴い高い場所の地主が富裕層になり貧民は水と共に暮らす・・・という事態は先日ニューヨークで我々が知り得たばかりだ、
そう本シネマはポストアポカリプスの世界に咲いた仇花のように哀しくも美しいお話だった。

旧式の記憶再現装置で細々と生計を立てる主人公(ヒュー・ジャックマン 相変わらずの好演)と暗い過去の陰が濃い美女(レベッカ・ファーガソン)との恋物語が軸になり、行方不明になった恋人との思い出に浸る主人公が、彼女を探し始めて遭遇する謎の事件。
ファンタジックなラブストーリーと狂暴なミステリアスな展開を両方楽しめるというサービス満点の筋書きになっている。
これは監督がTVドラマで培った経験と才能の賜物だろうが、監督のパートナーが、クリストファー・ノーラン監督の弟だという後知識から、ノーランの「インセプション(2010)」、「インターステラー(2014)」とのコンセプト類似性を疑ってみたりもしたが、やはりここはリサ・ジョイ監督の才能に素直に感謝する。
なにせ、ラストの記憶装置を使った愛の告白には見事に騙されたし、主人公の生き様にもちょっと感動した。
リサ・ジョイ監督の次回作を期待したい。
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