チャーリー・ウィルソンズ・ウォー (2007)

文字数 925文字

【ネックスト チャーリーに期待】 2008/5/24



怖い話だ。
実在する人物チャーリー、
歴然とした歴史的実証から見て事実と思われる彼の働き。
下院議員、それも民主党議員が反共主義を推し進めた結果、
巡り巡り更なる混沌にいたる恐怖。
良心に満ち溢れたアメリカ人の貢献が、
イスラム原理主義者によるテロにつながる、恐怖の因果応報があった。
チャーリーが政治的に純真無垢であっただけに、この歴史的皮肉はとてつもなく怖い。

アフガニスタンが現在テロリストのインキュベーターであること、
彼らの武器がアメリカが供与したものだったこと・・・
今まで、この程度の知識しかなかった自分だが、
果たして当事者であるアメリカ人もチャーリーの戦いを知っていたのだろうか?
当然のこと、
彼らアメリカ市民とて国家機密のベールに塞がれたチャーリーの戦争を
知るすべは無かったはずだ。
ことは、潜在敵対国家ソビエト兵士の命をより多く奪い、
どれだけコストパフォーマンスを持って損害をソビエトに与えるかにあったから。
この目的のため、あらゆる権謀術数を駆使するチャーリーの腕力に感心する一方、
軍事予算(それも隠し予算)執行システムが一部の議員で運営されること、
狂信的ともいえる反共情報部員(CIA)が80年代には生き残っていたこと、
そしてアメリカ人の多くがキリスト教世界観しか持ち得なかった死角、
これらの不幸の芽をチャーリーはじめアメリカは予見することはができなかったのか・・・
と諦めきれない想いになる。

かように、アメリカ現代史のコアを直撃するテーマを内在する本シネマではあるが、
本シネマ成否の境は、
膨大なチャーリーの画策を克明にしかしコンパクトにまとめられるか・・・にあった。
長期間にわたり、
多くの国家に関連し、
キーマンも多数登場し、
且つ非日常の世界を・・・である。

要所は確りと押さえられていたように受け取ったが、
背景情報がないとつらいところはあった。
ひとつ大きな救いは、
チャーリーその人がエンターテイメントそのものである点だろう(失礼)。
決して、娯楽に供するようなテーマでない本ストーリが、
それなりに充分楽しめたのは、彼の人徳か?
願わくば、アメリカの歴史にこれからもチャーリーのような熱血漢が現れますように。

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