ミッドナイトスワン (2020)

文字数 577文字

【やさしさに包まれました】 2020/9/25



昨年の「台風家族」で大きく躍進し演技派への道を走りだした、
と思っていたら今シネマでは、もうその頂点に至っていた。
ブラボー 草なぎ剛。

良い脚本に良い役者がそろえばシネマは僕に夢をみさせてくれる、
哀しくても心が震えて止まらないような物語だけども、
僕がイージーなサクセスストーリーを予期しだしたとたん、
その展開が何度も覆され僕は裏切られる、これもシネマの快感である。

僕が想像のなかでしか実感できないトランスジェンダーの悩みを
シネマは執拗に掘り下げていく、どんどんと際限なく。
そこには製作者の強い意志を感じるメッセージが込められていた、
これこそがシネマのお愉しみ、久しぶりにその想いを確認できる佳い作品に巡り逢えた。

特に映像でしか訴えられないショッキングはエピソードを
何事もないかのように切り出してくれた構成が印象的だった、
屋上でのバレー共演、
蜂蜜生姜焼きの伝授、
「真夜中のカウボーイ」を思いさせるバスシート、
どれも忘れられないシーンになりそうだ。

新人の服部さんを大切に扱っていたのにも好感が持てる、
シネマのなかと同じように草なぎさんが常に守っていた。
繰り返しになるが、草なぎさんの献身を思い、
本シネマのあまりにも重いメッセージを受け取った時、本作は特別なものに変身する。

本年度の邦画ベストを争う作品に違いない。
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