ウォンカとチョコレート工場のはじまり (2023)

文字数 651文字

【観終わってホッコリウットリ】 2023/12/13


ティモシー・シャラメがジョニー・デップ演じたウォンカの若き日を演じるという贅沢なキャスティングが興味をそそる・・・というわけでもない、もう18年前の昔話に近い前作なのだから、記憶はほぼ失われていた。

シャラメのために作られたシネマであろうとは思っていたので、共演者には まったく注意を払わなかったので拝見してビックリ、英国シネマ界総力を結集したといっても大げさではない俳優布陣になっていた。

オリヴィア・コールマン、サラ・ホーキンスの演技派お二人が硬軟際立てる役をコミカルに演じると、ヒュー・グラント、ローワン・アトキンスのベテランが捨て身の珍芸を披露する(もっともローワン・アトキンスは相変わらずビーンそのまんまだったが)。

前作の前日譚ということで、中身は徹底してウォンカの出世物語、それもコミカルミュージック仕上げになっている。
チョコレート愛の純粋さを阻む既存権力グループとの戦いも、奴隷待遇の労働への抵抗も、親子の悲話も、すべて軽ろやかに安全基準を保っている、観ていて心が温かくなるシネマのお手本だった。

シネマは本来このような楽しくて、夢があって、努力が報われて、ちょっぴり小悪がいて、最後は美しい大団円であるべきだ。
前作はジョニー・デップの印象が強かった記憶しかなかったが、本作ではシャラメと英国の役者魂の気迫を新たに見せつけてくれた。

コロナ渦からのシネマ復活の一年の最後を飾るにふさわしい、劇場で観る価値のある一作になっていた。
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