白ゆき姫殺人事件 (2014)

文字数 572文字

【デジャヴの恐怖】 2014/3/30



ずばり,全編にみなぎる「デジャヴ」が怖かった。
サスペンスジャンルでは何度も名作を観させていただいている中村監督に
新たなスパイスが加わったようだ。
ネット世界に隠れて勝手なことを発信する卑怯者たちの不正義に、
僕自身まで共犯者のように思わせる鋭い社会的視点のシネマだ。

それにしても本作の殺人事件顛末は、
どっかのTVワイドショー番組で観たことがあるな・・・と思わせてくれる。
厭なことに将来もこんな品のないレポートや、
再現ドラマを性懲りもなく観てしまうであろう自分にまたまた恐怖する。
決定的に厭なことには、何度この手のワイドショーネタを観ても
内容は覚えてはいないということだ。
無責任に人権を蔑ろにする番組を制作する人がいて、
その反対側に無責任に受け止める人がいる。

その無責任さの機微をシネマでは映像でもじょうずに表現していた。
湊作品の特許でもある関係者のモノローグの矛盾と同時に、
映像も微妙に違えていて「間違い絵探し」の面白さもあった。

僕が観ている、どのシーンが一体真実なのか?
真実は、そもそもあるのか?
何もかも奪われ、いじめられ、蔑まれる人間は本当にに弱くて善なのか?
みんな、登場人物誰もが無責任で勝手なことばかりしていた。

これがデジャヴの本当の普遍的恐怖だと気づいた。
なかなか洒落たサスペンスに仕上がったものだ。

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