アダプテーション (2002)

文字数 798文字

【脚本家って素晴らしい】 2007/10/27



パーフェクトな人生は難しいし、負け惜しみでなくパーフェクトなんてつまらないものだと思っている。時折、重要なシネマを見逃したままになってる場合がある。
本シネマもそんなインパーフェクトな待遇に据え置かれたままになって久しかった。
で、いまさらながら・・・だった。

カウフマンが脚本・製作に携わった、「マルコビッチの穴」と「エターナル・サンシャイン」の間に位置する本シネマ、まさに「パーフェクトはつまらないワールド」にいっぱいの不思議が詰め込まれていた。

単純に、ハリウッド内幕、楽屋落ちシネマなのかい?
という第一印象で油断した僕は一気に引き込まれてしまう。
原作と脚本の確執、その両者が敵対する宿命に長年興味を持ち続けてきた僕には、
本シネマはまさに至福の時間だった。

原作者に「脚本は専門家に任せますっ」、ぴしゃりとだめ出しするプロデューサー。
原作にポストイットを貼り付け、マーカーペンで塗りつぶしていく、何日も眠れないほど構成に悩むかと思えば、突然アイデアがひらめいてコンセプトを喋りだす、
メモカードを部屋中に並べつくし、それでも結局エージェントに督促される脚本家。

シネマファンが知りえない脚本家の作業工程が延々と再現される。
なんとも圧巻は、行き詰った脚本化が「脚本家講座」を受けるところだ。
そこでも、プロの彼は講師に罵倒される、「映画になっていない」って。
このあたり痛烈なユダヤジョーク満載シーン、
カウフマンの腕の見せ場なんだろうな・・いわゆる自虐悦楽だろう。

当然というか幸いというか、
一方では本シネマの脚本も何とか終盤一気に観客を盛り上げてくれるので、
ユダヤジョ-クに辟易し悶絶するまでには至らない、
ここはメリルとクリスクーパーのお手柄だろう。
もちろん、ニコラス・ケイジの二役、二つの個性の演じ分けは称賛に値する価値大だ。

それにしても、脚本家って素晴らしい。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み