エージェント:ライアン (2014)

文字数 948文字

【レジェンド 「ライアン」】2014/2/16



レジェンドとの再会に胸震わせてスクリーンと対面した。
と言っても今朝がたソチ・オリンピックで銀メダルを取ったノルディックジャンパーのレジェンドではない。
昨年惜しくも亡くなったトム・クランシーが創造した超ド級ヒーロー、ジョン・パトリック・ライアンのレジェンドがリ・スタートした。

その再スタート第一作は、名作「レッド・オクトーバーを追え」の背景でもあった「ロシアとの冷戦」を蒸し返している。
時まさに、国威発揚のオリンピックが開かれ、アメリカ大統領は開会式を拒否してロシア抗議を表明している。
本シネマではライアンが接する危機を民間企業の経済テロとして描かれてはいるが、一方、ロシアでは国家と企業は同一であるとのプロパガンダも劇中で確実に発信されている。
オリンピック開催中に、たとえエンターテイメントにしか過ぎないとはいえ、このような挑発的シネマが製作されるところに一抹のきな臭さを感じる。
あろうことか、経済テロにとどまらず10万人殺傷規模の爆破テロがスト-リーのクライマックスに用意されているのも大人げない配慮だ。

まぁ、そのコンセプトのおかげで「レジェンド・ライアン」にまた逢うことができたわけではあるから、固いことは言わない。
本作はライアンをおよそ一世代若返らせた形での再スタートになっている。
9.11テロをライアンのパトリオットモチベーションのきっかけにし、ロシアとの諜報戦を派手な銃撃とデジタル戦で描き、ライアンを現代によみがえらせている。
妻キャシーとの出会いは丁寧に描かれ、夫婦でCIA活動する段取りも素直に紹介されていて、ややこしい男女関係には立ち入らない。
ライアンをクリス・パイン、キャシーをキーラ・ナイトレイが演じ、いくぶん女権強化されているのも愉快だ。
ぜひ、このままでシリーズ化していただきたいと願う。

テロリストの敵役が日本、イスラム国家、中国、南米になるのだろか?
それとも現代の世界情勢に悪乗りするのなら、一気に「中国」との対決になるのだろうか?
ライアン大統領に至るまで観てみたいと願うのはファンの欲の強い贅沢だろうか?

先代のライアンシネマ(3人もいたが)のように美味しいとこどりではなく、大河ポリティカルサスペンスシリーズになるといいな。
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