未来を花束にして (2015)

文字数 622文字

【戦いは まだ道半ば】 2017/1/31



イギリスの女性参政権運動家たちを描いた佳作だった。
「未来を花束にして」というのは、将来生まれてくるすべての娘(女性)の権利を主張する母親の重い決意を表現している。センスがある、こんな邦題は大歓迎だ。

シネマのテーマから、女優さんたちも演技とは思えない迫真の感情を上手に表していた。
女性参政権運動のカリスマ指導者を演じたメリル・ストリープはハリウッドでの男女格差を非難し続けてきているだけに、劇中のアジテーションもしっくりと様になっていた。
(メリルは、もっとも、最近はアメリカ新大統領の品性を攻撃するのに忙しいようだけど)

主人公の洗濯女(キャリー・マリガン熱演)が巻き込まれるようにこの運動活動にのめり込んでいく。洗濯女には教育は要らない、夫の言うとおりにしろと差別され、挙句には子供までも奪われてしまう。
50年間平和的に運動し続けてきたが騙され続けた女性たち、そして我が身を捨てた攻撃的運動に転化していく。現代で言えば、彼女たちが選んだ行為は、ずばり《テロ》である。

当然なことに、テロには強圧な警察権力が差し向けられる。
彼女たちがとった最終手段、イギリス国王への直訴。
僕はこの事件のことは全く知らなかった。

翻ってみると、
現代世界においても変わることなく「差別」への反発・抵抗がテロを生んできている。
人種、宗教、経済力そして性による差別を解消できる日はいつやってくるのか?
戦いは まだまだ道半ばでしかない。
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