スペンサー ダイアナの決意 (2021)

文字数 659文字

【私はスペンサー】 2022/10/17


原題である「スペンサー」がダイアナの旧姓であることすら知らない王室音痴の僕だからこそ本シネマをシネマとして公平純粋に受け取れたと自負している。

ダイアナ妃が離婚を決意するに至るクリスマス休暇3日間を描いたサスペンスであり、暴露告発であり、精神の自由を描いた秀作だった。
王室は歴史上二番目に古い職業だと王族が自虐的ジョークで自己弁護するが、実は 無いはずだが見えない権力と莫大な財産を有するコングロマリットである。
だから継承者の正当性は厳しくも冷酷に評価され、内輪の争いは熾烈であり、権謀術数と犯罪紛いの負の歴史を王室は歩んできている 隠しようのない事実を本シネマでは正面から語ることなくさらりと僕の心に伝えてくれた。

ダイアナにとっては屈辱以外の何物でもない皇太子の浮気などは、だから王室にとってたいしたスキャンダルではない。
王室には過去・現在・未来はなく常に過去が優先する・・・と女王が微笑む王室の中に、ダイアナの生きる場所はなかった。間違った未来を夢に見た、もしくは夢を描いたダイアナの完全な敗北を思い知るシネマの3日間、スリリングな展開だった。

女王、伴侶皇太子、侍従、侍女、料理人、衛兵すべて登場人物に悪人はいない、王室には悪人はふさわしくないから。

クリスマス休暇3日目、間違った世界から普通の日常に戻る決意をするダイアナ。
美しい晴れやかな映像と子供たちとの大きな歌声が響き渡る。
ダイアナの未来を知りながらも、僕は彼女たちとともに心が晴れやかになった。

私の名前? スペンサー。
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