つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語 (2012)

文字数 762文字

【愛はわがまま】 2013/1/27



「ま、いいや(主題歌・クレイジーケンバンド)」どころではなかった。
思い切り考えさせられてしまった・・・いまさらながら【男と女】について。
死の床にいる「つや」という勝手気ままな女性にまつわる老若男女がズラ~リと登場する。
短編連作スタイルだと途中から気づいた、狂言回しを演じるのが「つやの今の夫(気合充分の阿部寛)」。短編の登場者は多彩、多様そして、どうしようもなく愛に焦がれながら彷徨っている連中だった。
つやの・・・従兄弟とその妻と愛人、
つやの・・・元夫、彼に興味を抱く肉体を仕事に使う愛人、
つやの・・・自殺した怪しいメル友男、自殺の理由を知りたい妻、
つやが・・・ストーカーをした若い男とその恋人、オマケに男の昔の恋人と息子
つやに・・・夫・父を奪われた母娘、
これらのどうしようもない連中が思い出の中の「つや」をちょっぴり語る中で連作は進行していく。物語のシーンは当然あちこちに飛びながらも、エピソード幕間で狂言回しの住む伊豆大島に戻ってくる。

実は、ラストになって「つや」と狂言回しの罪らしきものが明らかになってくる、明らかにつやは異常な愛で男を縛ってきた。異常な愛も立派な愛とすれば、短編連作の上手な落としどころだった。
妻の死を前に、昔妻が関係した男たちに執拗に連絡する夫の真意が最後に明かされる。
「愛とは決して後悔しないこと」などと格好いいものではなかった、彼にとって最後まで愛はわがままだった、そして他の誰にも等しく「愛はわがまま」なのだ。
いろんな愛があるもんだね、それにしても。
日本シネマ界、俳優、特に女優の活きのいいところが観られたのは大いなる悦びだった。

老婆心:
本テーマはある程度年配の人でないととても共感は得られないだろう。もっとも、反発も評価とすれば何も懸念することは無いが。
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