ソロモンの偽証 前篇・事件 (2015)

文字数 647文字

【怒涛のラストのため、まず前編を観なくちゃ】 2015/3/7



宮部さんの作品はなぜなのか、過去の映像化では良い結果が出ていない。
個人的印象としてはシネマ化は「全滅」状態だったことをずっとひとり嘆いていた。
あんなに面白く読めた原作なのに・・・というあの手の愚痴でもあった。

一方で、宮部ワールドがいつか日の目を見る映像に出会うことも信じていた。
それがとうとう実現した想いで胸が一杯だ。
それも、強烈長編(単行本3部冊)のシネマ化で良質の映像化にたどり着いた。
無理やりシネマ1本にまとめる狼藉もなく、原作の細部に逆らわずに細部を簡潔化して、
前後編にまとめたようだ。

素材の突飛なところ(中学生が裁判??)は、
映像化することによってほとんど違和感が無くなってくるのも不思議だ。
それは、中学生を演じる若き俳優陣の力によるものだ。
なまじアイドルなど起用しなかったところが慧眼の至りである。
そのようなエンターテイメント思考こそが宮部ワールドには相容れないものだと思っていた。
しかし、素人を集めたジョブナイルシネマなどと、ゆめゆめ勝手に想像してはいけない。
全員が鍛え上げられているのが画面から伝わってくる。
主演の藤野涼子はじめ中学生がすばらしい。

前篇は「事件」と称して、映像的種をまき散らしてくれている。
後編はお待ちかねの「裁判」、
前半の謎がどう狩り取られるか今からもうワクワクしている。

老婆心:
原作を知っていることと、シネマを楽しむことは全く別物である、
それを実証した優れたシネマになっている(後編もそうだろう)

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