アンダーカヴァー (2007)

文字数 781文字

【俳優の旬は】 2009/5/5



アカデミー賞ノミネート俳優二人 (未受賞のこのノミネート状態が俳優の旬だと信じているが)、の競演が観もの・・・かと思いきや、
ホアンキ・フェニックスの圧倒的優勢で全編が彩られていた。
もうひとりの、マーク・ウォールバーグは《ディパーテッド》の遺産のごとき配役でちょっとお気の毒。もっとも、商魂逞しきジャパンでは《アンダーカヴァー》などというマークの骨までしゃぶるような、怪しい題名に変えられているので、ハリウッドのことなど笑っていられない。
(原題はWE OWN THE NIGHT)

本作のテーマは「潜入」でも「偽装」でもなく、「ファミリー」。
ロシアン・マフィアの家族と、同じくロシア系警官一族との悲しい巡り会い、
その家族両方に翻弄される主人公(ホアンキ)は警官一族のはぐれ者、
この放蕩息子がマフィアの内情を探るサスペンスになっている。

ストーリーはさほど複雑ではなく、どちらかというとご都合主義露わなところもあるが、
ここは前述のアカデミーノミネート俳優の実力を楽しむべきだろう。
決してロシア系に見えないホアンキが、
エンディングにはロシア的情熱を解き放つと同時に、ロシア的赦し・優しさを学んでいくように思われた。
家族代々の優秀な警官マークは実はホアンキの陰に対する陽の立場でありながら、
PTSDを境にそれが逆転するという暗い華やかさにかける境遇を渋くまとめていた。

この二人の父親にロバート・デュバルが扮し、最近定着した強烈ジイサンパターンで頑固な警官を演じている。ロバート・デュバルといえば僕にはゴッドファーザー コルネオーネの忠実なる弁護士トムのイメージがいまだ強烈だが、ロシア系ファミリーを必死で守る家長の姿にはるか時の流れを実感した。

このロバート・デュバルはアカデミー賞受賞俳優、
ノミネート俳優との違いを想像してみるのも面白いかも。
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