庭から昇ったロケット雲 (2007)

文字数 616文字

【信頼、愛、絆】 2009/1/4



昨今、世界不況の元凶と非難され続けているアメリカ。
僕ら団塊世代にとって永遠の憧れであるアメリカ的市民生活すらもはや幻想でしかなかったのだろうかと、複雑な虚脱感にさいなまれていたときに、思いがけない一服の清涼剤のようなシネマだった。

お話は、お百姓さんが手作りのロケットで宇宙旅行する・・・というとんでもない奇想天外。
言葉で表現するとまさに「アリエネ~!」で片付けられ、際物コメディと予想されても仕方がないところだ。
ところが僕の印象は全く違っていた。
小さい頃からの夢「宇宙飛行」を実現する信念を持続し続ける主人公(ビリー・ボブ・ソーントン好演)。その夢を持つがゆえに夫を愛する妻、父を敬愛する子供たち。
変わり者の主人公を心配しながらも温かく見守る町の人たち。
テキサス,アメリカの原点である農場に今も息づくフロンティアスピリッツがそこに残っている。

かって繁栄の象徴であった豊かな生活環境は影を潜め、
その代わりに光り輝いていたのは「家族の信頼、愛、絆」。
クサイ言葉の羅列になるが、今僕らが取り返さなければいけないのは物質ではなく「こころ」。

本シネマはおそらく金融危機以前に製作されてものではあろうが、
世界が見失ってしまった大切な「人間のつながり」を取り戻すヒントを包含した良心作だった。

老婆心:
二人のちっちゃなお嬢さんがとても可愛い。
大人の寓話など関係ないね・・・って言う方もこの二人の笑顔は無視できない。
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