ホワイトハウス・ダウン (2013)

文字数 936文字

【やっぱりエメリッヒは「地球的心だ」】 2013/8/20



「これが地球的心だ」のエメリッヒ。
僕が勝手につけたローランド・エメリッヒ監督のキャッチフレーズである。
「インディペンデンス・デイ」、「デイ・アフター・トゥモロウ」、「2012」で
地球をリセットしてしまう潔さに心酔したファンとしての賛辞でもある。
おまけに、これらの作品が世に受け入れられヒットしたのも、彼の地球的心のなせるところだ。
とすれば、本作品はいかに受け止めるとしようか?
急進的平和政策を強行しようとするリンカーンを信奉する黒人大統領
(このあたりの伏線が職人的だ)を排除しようとするテロ集団。
彼らは兵器産業の意図を受けた政治家であり、軍事訓練を受けたウルトラ右翼であり、
消耗品としての犯罪者だ。
テロリストはシネマ冒頭からホワイトハウスを爆破し、
SS( シークレットサービス)や海兵隊員を殺戮してしまう。
抵抗するのは、大統領その人と、たまたまSSの採用試験を兼ねて
娘とホワイトハウス見物に来ていた警官(これまたストレートな伏線になっている)
しかいない。

確かに今までのエメリッヒのディザスターシネマとは趣が異なっている。
僕がふと思いついたのはエメリッヒ2000年の作品である《パトリオット》。
共通するキーワードは「愛国心」だ。
しかし、2000年時点ではイスラムとの戦いを鼓舞するための愛国心だったのに対して、
2013年の今は正義を全うするための「愛国心」という大きな隔たりがある。
別の見方として《パトリオット》がアメリカという国家を誕生させるための
愛国心であったのに対して、
《ホワイト・ハウス ダウン》はアメリカを国家の上位概念にまで引き上げる
人類全般への愛国心ともいえる。

そう考えると、ホワイトハウスは無意味の象徴であり、
消滅(ダウン)する運命にあると納得できる。

そう考えると、娘を救うためだけにディザスターに巻き込まれていく
父の無思想、無見識も重要な要素であることが理解できる。

そう考えると、《パトリオット》で打ち振られた愛国の星条旗は
《ホワイト・ハウス ダウン》で少女に受け継がれ、
人類の願いが託された愛国のフラッグショーとなった。

見えてくるのは「地球を愛する心」。
やっぱり、エメリッヒは「地球の心」なのだ。

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