リボルバー (2005)

文字数 501文字

【異端の喜びは格別】 2008/11/9



ガイ・リッチーの奔放思考とリュック・ベンソンの誇大映像のマッチング、
僕は気に入った、おそらくはミスマッチングだろうと懸念するものであるが。
敢えてここでは、
ミスマッチほど刺激的なエンターテイメントはないと言っておく。

シネマのエンターテイメント価値は世の中の不平等、不運、不可思議をいっときの間忘れさせ、あわよくば癒してくれる可能性だ。
暗闇の中でどれだけ自分を捨ててヒーロー、ヒロインに酔いしれたことだろう。
そして、幾たび劇場を出て覚醒し新たな苦難に立ち向かうことができたことか。

ところが片方では、
人間の欲望は限度を知らないと同時に、突然その方向を変える。
たまには訳の知れない、不条理なシネマに偏愛を覚える。
たまには、現実の世界と同じ無力感、未達成感に新鮮な思いを抱く。

まさに本シネマがその異端者だ。
映像の下品さは観る僕の劣感に共鳴し、主人公の葛藤する魂はほとんど僕を狂わせる。

登場するあまたの犯罪者たちが愛おしい、血の報酬に目を見張り決して閉じることはできい。

決して癒されることのない、現実に正直なシネマだ。
いやはや、とんでもないシネマに巡り合ってしまったものだ。
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