バビロン(2022)

文字数 580文字

【語りつくせないシネマ愛】2023/2/10


アカデミー作品賞に輝いた「アーティスト(2011)」とモチーフは同じだが表現スタイルは天と地の違いだった。

本シネマはスター男優(ブラッド・ピット)、ハリウッドにあこがれるメキシコ移民(ディエゴ・カルバ)、一発成り上がりを狙う女優の卵(マーゴット・ロビー)三人のめぐり合わせを軸に無声映画からトーキーへの大変革期を愛おしく振り返るところは 「アーティスト」の二番煎じかもしれないが、全編マックス音響から妙なる調べまでの音楽に包まれた独特進化系のミュージカルテイストは、さすがデイミアン・チャゼル監督の想いが明確、理解しやすく楽しい3時間だった。

全編を貫いていたのは純なシネマ愛、それはシネマにかかわるすべての人たちへの尊敬と労りに満ち、詳細すぎると懸念したほどのハリウッドシネマ作法へのこだわりも、同じくシネマを愛する観客の一人として好ましい以外の何物でもなかった。

「セッション(2014)」、「ラ・ラ・ランド(2016)」ともに屈折した結末に導かれながらも、嫌悪感も喪失感もなく逆に爽快な人生達観を覚えたことを思い出した。
本作においてもシネマにかかわった人々への純粋な感謝と悲運が交錯しながらもシネマがもたらすパワーが見事に伝わってきた。

長時間物語ではあったが、それでも語りつくせないシネマへの愛に圧倒された。
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