BAD LANDS バッド・ランズ (2023)

文字数 735文字

【とにかくドライな悪のヒロイン】 2023/10/4


原田眞人フィルム直近4作、「関ケ原(2017)」、「検察側の罪人(2018)」、「燃えよ剣(2021)」、「ヘルドッグス(2022)」のメインキャストは今話題の事務所タレント、うち三作には 岡田准一さんが主演している。
今作も山田涼介が主演安藤サクラの弟として大事なサポーターに徹している。
話題満載だな・・・と思って拝見していたら、岡田准一さんが思わぬシーンでサプライズ出演している、
原田監督は岡田さんがお気に入りなんだろうな。

時事ネタから入ったが、シネマは底辺で蠢く悪に生きる人間すべが主役だった。
もはや小悪が大悪を食って爽快感を感じる時代でもないし、悪同士の殺し合いだから配慮はいらないという言い訳も通じない。
そこで、本シネマはコミカルな哀愁を含んだファンタジー・クライムの形をとって、現実逃避を果たしている。

オレ詐欺グループスタッフの主人公(サクラさん カッコいい)が追い込まれて大罪を犯すのかと思いきや、小さい頃から生き延びるため何事も拒まなかったことが物語の展開であきらかになる、彼女こそサイコパスだった。 弟(山田さん)との奇妙な愛情関係もすべては生き残るため、その点弟の感情とは一線を画していた。
こんな姉弟に命を預けるラスト極道(宇崎竜童さん)が微かにではあるが任侠世界の風を吹かせてくれる。

BAD LANDSに生きる小悪の後ろに控える、政治悪、経済悪には誰も手を出せない、そんな当てこすりもシネマの一興だった。
前述の岡田准一さん(半グレ)、天童よしみさん(あねご組長)たちのおかげで暗く湿っぽいクライムシネマに陥ることなく、
ドライなデビルヒロイン物語りに昇華していた、めでたしめでたし。
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