エリカ38 (2019)

文字数 650文字

【再現ドラマに冴える美代ちゃん】 2019/6/11



クッレジット冒頭にPresented by KIKI KIRINとある、この意味するところに首を傾げた。
希林さんは主人公の母親役でも出演しているが、希林さんのシネマ…というにはプレゼンスが低かった。
もちろん、美代ちゃんと希林さんの信頼関係は知ってるつもりだ、リアルタイムでTVホームドラマを見ていた世代だから。勘ぐれば、希林フィーバーが燻っていることをプロモーションのてこにしたのだろう。

無論 本シネマは、ホームドラマなどではない。
タイで拘束された逃亡犯人事件の再現、ワイドショー格好の題材だった記憶がある。
そのポイントは、大金横領(詐欺)してタイで若い男と住んでいたこと、
自称38歳!の破廉恥ぶりが際立っていた。

浅田美代子さんが、その犯罪者を克明に演じる。
ルポライター取材・インタビューと再現パートのセットで物語が進む、これはTV的再現ドラマ手法のコピー、自虐的であるが。
それは事件を愚直に解説する構成からも判断できたし、
一方では大胆な憶測の部分がほぼ再現されないことからも想像できる。

つまり、本シネマは事件の深淵を追求することはしない。
その根底にある人間の欲望にも淡白だ。
驚いたことには、「誰も悪くない」という結末まで匂わせている。
事件の愚劣さや人間の醜さは捨てておかれていた。

肝心なのは、樹木希林さんが企画した美代ちゃん主演のシネマであること。
希林さんの怨念が美代ちゃんをずっと包んでいた。
美代ちゃん 渾身の熱演。
希林さんの想いに応えていた。
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