護られなかった者たちへ (2021)

文字数 1,268文字

【哀しみの「ミスター・ムーンライト」】 2021/10/4



予告編では延々と佐藤・犯人と阿部・刑事を見せつけてくれる。
ダブル主役ということらしいが、こういった場合どっちに軸足を置くかを決めると、
シネマはよりエモーショナルになり、当然より一層娯楽濃度が高まるというわけだ。
厄介なことに、同じく予告編では東日本大震災の悲劇がサブリミナルのように顧客に刷り込まれていったのにもかかわらず、シネマ展開に伴って「生活保護問題」が浮かび上がってくる、
それもドンブリコと物語のど真ん中に。

ややこしいことには、
主要登場人物には震災の被害者故の秘めたるトラウマがある。
さて、僕はどっちに軸足を置くか、悩んでしまった。

貧困政策に絶望し暴力に走る犯人のほうか?
はたまた、すべては大震災という自然現象のなせる業として安寧な結末を期待するか?
いやいや、そうはいっても極端な汚れ役で頑張る佐藤さんにエールを送るか?
やっぱり、背が高くてハンサムだけど心にぽっかり穴の開いた阿部さんの意外性に惹かれるのか?

あまりにも対立点が多すぎて右往左往しているうち、シネマが頂点で熟したところを横から別の対立軸にかっさらわれてしまい、ジ・エンド。哀しみの「ミスター・ムーンライト」
タミーゴ さん 2021年10月5日 4時40分 閲覧数 9 役立ち度 0
総合評価 ★★★★★
予告編では延々と佐藤・犯人と阿部・刑事を見せつけてくれる。
ダブル主役ということらしいが、こういった場合どっちに軸足を置くかを決めると、シネマはよりエモーショナルになり、当然より一層娯楽濃度が高まるというわけだ。
厄介なことに、同じく予告編では東日本大震災の悲劇がサブリミナルのように顧客に刷り込まれていったのにもかかわらず、シネマ展開に伴って「生活保護問題」が浮かび上がってくる、それもドンブリコと物語のど真ん中に。

ややこしいことには、
主要登場人物には震災の被害者故の秘めたるトラウマがある。
さて、僕はどっちに軸足を置くか、悩んでしまった。

貧困政策に絶望し暴力に走る犯人のほうか?
はたまた、すべては大震災という自然現象のなせる業として安寧な結末を期待するか?
いやいや、そうはいっても極端な汚れ役で頑張る佐藤さんにエールを送るか?
やっぱり、背が高くてハンサムだけど心にぽっかり穴の開いた阿部さんの意外性に惹かれるのか?

あまりにも対立点が多すぎて右往左往しているうち、シネマが頂点で熟したところを横から別の対立軸にかっさらわれてしまい、ジ・エンド。
観終わってみれば、わざとらしい対立点に惑わされ続けたことに気づく。

エンディングローで流れてきた主題歌「ミスター・ムーンライト」、
この哀切の調べを聴いて、すべてを水に流し気持ちを落ち着けた。
振り回された哀しみよ、どこかに飛んでけ。
観終わってみれば、わざとらしい対立点に惑わされ続けたことに気づく。

エンディングローで流れてきた主題歌「ミスター・ムーンライト」、
この哀切の調べを聴いて、すべてを水に流し気持ちを落ち着けた。
振り回された哀しみよ、どこかに飛んでけ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み