関ヶ原 (2017)

文字数 566文字

【原作をコセンジョー関ケ原】 2017/8/26



近年快調だった原田監督がとうとう長期構想を実現したとのことご同慶の至りだ。
原作は司馬遼太郎さんの労作、
家康の情報戦略、懐柔、恫喝が印象に強かったが、いかんせん大作だ。
司馬史観をベースに商業シネマとして成功するための仕掛けが
岡田准一さんだったのだろう。

そう考えると、家康を演じる役所広司さんと三成を演じる岡田さんの
アンバランスが目立っていた。
役所さんは積極的に家康を押し出してくる、ぐいぐいという勢いだった。
対する岡田三成はというと「義の人」一筋、
内に秘める気持ちをそっと理解してほしいようだった。

非司馬遼太郎路線の華となっていたのが有村架純さん、
三成との恋愛はしかしながら異質でしかなかった。
加えて、これは僕の個人的問題ではあるが、
岡田さんの役作りがかってのNHK大河の主人公に被さってきて
どうにも落ち着かない。

そういえば、このところNHK大河は「関ケ原」時代のストーリーが多いようだ。
関ケ原は一般のシネマファンにとっても馴染み深い素材ではあるが、
戦国時代最後の混沌とクライマックスを詳しく知る人は
歴史マニアならいざ知らず多くはないだろう。

その意味で、シネマは壮大な大河ドラマ総集編の様子を呈してしまった。

洗練された戦場映像とはいえ、そこに二十万人の息吹が感じられないのも致し方ない。

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