アポカリプト (2006)

文字数 736文字

【こりゃー参った、降参だ、勉強しなおします】 2007/12/17



マヤ文明で知ってることといえば、
スペイン植民地化、略奪の中で滅亡させられたことくらい。
その滅亡の始まりが、シネマラストパートに描かれている
・・・白人の上陸シーンだ。
そこでの主人公のマヤ人若者(時代劇の上手なキムタク似?印象似だけど)の言葉が
意味深長だった。
スペイン人に背を向けて家族に告げる。
「新しいことを始める場所に移る」・・・と。

滅亡に、時代に逆らって生きようとする彼こそが神に選ばれし人間だった。
というような観方もできるほど、本シネマには僕をしてメタファーの混沌にいざなう、
あまたのエピソードが盛りだくさんだった。
そのキーは現代社会への嘲笑と警告:

■一貫して描かれている親子愛、有形無形の財産を子孫に継がせたがる父親たち。
■子作りに関わる泣き笑いから忍ばれる親子愛。
■侵略と殺戮。
■特権階級の無能。
■無能特権階級に従う従順。
■不合理な政治、行政。
■グローバル化の裏に潜む邪悪。

何のことはない、
この意味するところすべて現代に通じること、マヤ以来人類は賢くなったのか?
ただし、
本シネマは「暴力と残虐とスピード」によってパーフェクトに構成された痛快アクションだ。
あまりにもリアルな残虐映像は僕の想像力を抑え、
結果として嫌悪感を覚えることすら無かった。
確かな記憶ではないがメルの《マッド・マックス》初体験に通じる
異次元快感に酔いそうだった。

マヤ文明にこれほどの暴力アクションを適合させたメル・ギブソンにただただ感心するのみ。
そして、
暴力をこれほどまでに蒸留し、楽しませてくれたメルを理解していなかった後悔でいっぱいだ。

実は、食わず嫌いでメル監督作品を避けてきていた。
こりゃー参った、降参だ、勉強しなおします。

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