ゾンビ (1978)

文字数 567文字

【これをもってホラーシネマを封印しました】 1979/6/9



ものごっついシネマが創られたものである。
死人が起き上がって、人間の生肉を食らうなどという発想自体、まず強烈。
だが、極限状態を設定し、、人間のタブーの枠を取り払い、潜在本能、願望を解き放ち満足させるのは、シネマ創りの基本ではある。
現実世界の不可能事をスクリーンに描くことは、低次元ではあるがシネマの大きな武器である。
何より、殺人を合法化されている警官をこの状況に置き、なお殺人(殺死人)を楽しませるなんては、かなりのブラックユーモアである。
一度死んだ人間を撃つことは殺人ではないというゲーム理論さえ理解していれば、こんな痛快なこともないだろう。
・・・すくなくともインディアンやドイツ兵を殺すよりは気が楽か?

もうひとつの夢の舞台は無人のデパート。誰にも邪魔されず好きなものを手に入れる快感を、誰も一度は夢見た経験があるはずだ。
孤独の代償としての贅沢・・・ロビンソン・クルーソーの世界は魅力的だ。

しかし、人間はそれほどロマンチストではない。
「ゾンビ」は、狂言回しではあってもテーマではない。
狂乱のゾンビ対策こそ大茶番、ゾンビは怖くないが生き残った人間と、生き残り方に恐怖を感じる。
そこにインヴェーダーゲームに熱中する現代人を見る想いだ。

唯一、音楽が好印象、さわやかな救いになった。

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