ふきげんな過去 (2015)

文字数 663文字

【しゃべくりシネマ(?)も一興です】 2016/6/29

  

二階堂さん演じる主人公「果子(かこ)」が途中から
「過去」になっているようで、気になって仕方がなかった。
同じようにお母さん役の小泉さんの名前ミキコが未来子だったのに
あとから気づいた。

なにやら、「未来」と「過去」をメタファーしたシネマだったのかというと、
実はそうでもない。
北品川の商店街のどこにでもいる人々のお話だった、
もっとも一部ファンタジー系シークエンスはあるが。
主人公一家の会話がすばらしい、脚本の前田司郎さん(監督も)の才能が乱れ打ちしていた。
できそうでなかなかできない、本当に日常で使われているリアルな会話がここに再現される。

はたして、そんなリアルがシネマに必要なのか?
シネマでは、つかの間の夢の世界を見たいのではないか?
そんな迷いも吹っ切れた「しゃべくり」に呑み込まれていた僕だった。
台詞、発する俳優のトーン、受けて応える相方の台詞、その微妙な間、あるいは間の消失。
そこには既存のシネマらしさはなかった、
だが少なくとも意図的な臭さもなかった、素晴らしい。

物語は、冒頭で述べたとおりの過去と未来に供されるちょっとした教訓が差し込まれていた。
未来がわかったように思えるのは、それは過去の話だから(未来子の言葉)。
真実を知っているのはたった一人かもしれない、
世間が正しいとは限らない(果子の不機嫌な言葉)。

それにしても,「黄泉がえり」、「巨大ワニ」、「怪しい赤ん坊」、「豆料理」、
「手製爆弾」 やりたい放題だった。
これってファンタジーシネマだったのか、もしかして。

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