フェイク シティ ある男のルール (2008)

文字数 597文字

【エルロイのこだわりに納得】 2009/2/15



LAPDご執着ジェームス・エルロイじきじきの脚本はのどごし良好。
ストーリーに癖がないのは良し悪しだけど、その分俳優にこだわっている。

フォレスト・ウィッティカーは「BIRD」の頃から変わらないエキセントリックな雰囲気。
主人公のキアヌといえば、逆に抑制の中に役を表現していくパッシブスタイル。
この二人のやりとりはなかなかの見ものだった。

FBIフーヴァー長官を彷彿させる黒人警部(フォレスト)がLAPDの権力を私物化する。
現代ではこんな汚職構造に君臨するのはエリート黒人になっている、
然もありなん、大統領もいまや黒人なのだから。
オリジナルタイトルのSTREET KINGはそんな意味も示唆している。

この警部の秘蔵っ子(キアヌ)はいわゆる鉄砲玉、汚れ仕事専門デカ。
暗い過去に執着し自暴自棄、アルコール依存度も高い。
彼の苦悩を、随所で細やかに説明するインサートは、エルロイ脚本の賜物、
彼と警部の近親憎悪を醸成し、爆発させる成り行きに充分納得させられる。

主人公がLAPDの救世主となるエンディング、
シーンがぶちきれて唐突なのも、
ハッピーエンディングではないというエルロイのメッセージだ、
洒落てる。

老婆心:
アクション、それも物理的リアリティにこだわるアクションについつい圧倒されて、
ストーリーの滑らかさに、フォレストとキアヌの対比に気付かないことのないように。
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