スノーデン (2016)

文字数 792文字

【現大統領を予期したのか? スノーデン】 2017/1/30



テレビドラマ《NCIS 海軍犯罪捜査局》のことである・・・
特別捜査官マクギー、化学分析官アビーがNSA国家安全保障局にハッキングして重要な情報を取得して事件を解決する。
いかなる情報でも瞬時に入手するシーンは僕は当然のことと思っていた、絵空事ではないと。

だから、
世界のすべての情報にアクセスし収集し選別し利用しているNSAの内部職員が
いまさらそんな告発したところで、驚くこともなかった。

その裏側には自分には関係のないテロ、犯罪の世界なのだからという、歪んだ納得があった。
本シネマは、スノーデンがマスメディアに内部告発するところから遡り、
特殊部隊訓練、CIA での行動から彼の愛国心を擁護する。
つい最近の、そして現在進行形の「スパイ事件」のためなのか、
一人の青年の迷い、葛藤、決断を脚色なく淡々と描く平坦なシネマ作法が続く。

最近のサプライズ志向のシネマに慣れ切った僕にはつらい時間帯もあったが、
政治メッセージをシネマに託すことは嫌いではない。
オリヴァー・ストーン監督の面目躍如であった。

スノーデンの告発により、オバマ大統領はじめ政府の情報部門の反省と自粛が湧き上がった。
ここはスノーデンの一本勝利いうところだった。
しかし、アメリカ新大統領が大統領令という方法で人権、平等、自由を
抑圧できることを見せつけている現在、
スノーデンのアプローチはいまこそ重要であり効果があるものになった。
誰かが声を上げ、行動しなければ独裁政治はもうすぐ目の前にある。
アメリカの良心を鼓舞する静かな中に熱い思いの詰まったシネマだった。

老婆心:
彼が開発した人物特定システム(携帯電話、SIMカードを追跡する)を活用して
ドローン爆殺の場面がある。
その携帯電話を本人が持っているかの確認はしないままの爆撃に唖然とするスノーデン。
これが個人情報収集の成果だった。


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