エアポート’80 (1979) 

文字数 876文字

【シリーズ最高の疲労】 1979/12/24




おなじみのエアポートシリーズ、今回4作目。
もうアイデアは出尽くしたと思ってましたが、
さすがハリウッドの考えることはデカイですね。
目玉はSSTコンコルド、今回の主役でもあります。
科学の粋を結集したこの美形がスクリーンいっぱいに観れるだけでも圧巻です。
まして、ファントム戦闘機と対戦したり、ミサイルに狙われたり、
時限爆弾が仕掛けられたりするとは、驚きの連続でした。
パニックの仕掛けとしてはサービス満点でした。

もうひとつのお楽しみである「グランドホテル形式」の人間模様。
密室の機内に集う数々のキャラクターたち、今回は格別に生き生きしていました。
ソ連のオリンピックチームと恋仲のTVレポーター、
ソビエト公演に向かうジャズシンガー、
息子の心臓を運んでいる母親、
航空機会社社長、などなど多彩な顔ぶれになっています。
しかし、これって毎度お約束のパターンですよね。

今回、スター俳優の顔見せに終わらなかったのは、
人間模様をニュースキャスター(ス-ザン・ブレイクリー)と
カタキ役、軍需産業のボス(ロバート・ワグナー)に集約させたことでしょう。
キャスターひとりの為にコンコルドが狙われる不合理、
愛人まで抹殺しようとする冷酷な企業家・・・
ご都合主義脚本に違いないのですが、
パニックネタにはこのくらいの図々しさが相応しいのかもしれません。

気丈なキャスターとハンサムな悪役の「愛情と非情」を中心に
パニックは突き進んでいくのです。
意外といいカップルでした。

ということで、せっかくのアラン・ドロン、どうすればよかったのでしょう?
シルビア・クリステルとのエピソードすら、前述の二人に比べれば軽い扱い。
これはハリウッドのフランス俳優に対する偏見なのでしょうか、不可解です。
ドロン自身もワグナーとのセックスアピール競争には興味無しの風情で、
無難に役をこなしてるように思えました。
とはいえ、最初から終わりまで各種アイデアを凝らしたアクシデントを、
ずらりと用意した本作品、休むひまなく、疲れました。

その疲労度からみても、シリーズ最高の出来具合でした。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み