LION/ライオン ~25年目のただいま~ (2016) 

文字数 716文字

【オーストラリアとグーグル、どちらも偉い】 2017/4/10



インドとオーストラリアはいずれも英国統治の伝統を色濃く残しながらも、
現在その社会情勢は大きく異なっている。
インドは20世紀初頭まで英国に支配・搾取された後遺症でいまだに年間8万人もの子供が行方知れずになっている 古くからの大国だ。
中でも英国統治の傷跡の大きかったベンガル州で迷子になった子供がオーストラリアに養子として送られる
・・・というのは本シネマの前半部分だ。

そしてオーストラリアといえば、原住民はじめ貴重種の動植物絶滅後になって英国が植民地としたため、オリジナルの消滅した多民族文化を誇る現在だ。

シネマ後半は、実の母親と兄への想いと里親への愛情との葛藤に疲弊する主人公(逞しくなったデブ・パテル熱演)再会のカタルシスになっている。

そんなインドとオーストラリアに母親を持つ主人公の心の揺れがシネマ全般を伏流し、
僕は単純な「血縁と養育」という話題に浸ることはなかった。

実話のシネマ化だとのこと、エンディングには二人の母親と主人公の
実写シーンまでサービスされ、
インドとオーストラリアの相違が浮き彫りにされる。

オーストラリア人の母親(ニコール・キッドマン好演)の世界観がそのまま本作品のメッセージにもなっている。
《世界には不幸な子供がたくさんいる、自分の子供ではなく彼らと暮らす》
という決意が本シネマから熱く伝わって来た。

もしかしてこのテーマはオーストラリアの移民政策なのかもしれないが、
このようなプロバガンダならいくらでもシネマは協力すべきだ。
そして、
タスマニア島にいて、インドの奥地の小さな街の横丁まで見ることができるグーグル、
グーグルあってこその奇跡のシネマだった。

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