サブウェイ123 激突 (2009)

文字数 755文字

【なんだかまとまりがないが・・満足】 2009/9/6



リメイク作品だ・・・はや35年も経ったとは。
当時のタイトルが《サブウェイパニック》、主演ウォルター・マッソーつながりの《マシンガン・パニック》からの流用だと当時理解していた。
いずれにしろ、前作は名タイトルのひとつだっただけに、リメイク公開に際し苦労したことだろう。
「パニック」という言葉もいまやナウくないし、結局想像力欠如の田舎っぽいタイトルになった。

ところが中身はタイトルを大きく裏切る「都会派知的サスペンス」。
地下鉄ジャックの犯人と司令室の主人公の交渉経緯がメインストーリーという地味な設定も、
その二人をジョン・トラボルタとデンゼル・ワシントンが演じることで
リアルティを飛び越えて「お洒落」とすら見紛う構成になっている。
僕はシネマファンの端くれとして二人のめまぐるしいカットと会話のやりとりに酔ってしまった。

その名優たちの熱い饗宴に油を注いだのがほかならぬトニー・スコット監督。
NYのブリッジを得意の俯瞰ズームで切り取っていくビートの小気味よさは相変わらず。
白バイ、パトカーが身代金を運ぶためにNY市内を駆け抜ける見せ場も目まぐるしく繋いでいく・・・十八番とはいえ新鮮だった。
とはいえ、
地下鉄テーマにかまわず無頓着にヘリコプターからNYを見下ろして、
「絶景!」と言わせるに至っては立派の一言、笑ってしまった。
二人のベテラン役者をすっかり忘れて、せっせとマイピクチャー作りに没頭していた。
なんだ?油を注いだのか水をさしたのか?

ジョンの予測不能なエキセントリックに驚き、
デンゼルの手堅いまとまりに安心し、
トニーのこだわりにちょっと苛立ち、
なんだかまとまりのないシネマなんだけど、
週末に楽しむささやかな恐怖に満足した。

シネマの価値はこんなところにひとつある。
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